引越し業者とのトラブル防止のために標準引越運送約款の解説

標準引越運送約款とは

標準引越運送約款は1990年に旧運輸省(国土交通省)から告知され、2003年に改正された、引越し業者と顧客との間のトラブルを未然に防ぐために作られたルールです。
引越し業者と消費者との間で結ばれる引越作業請負契約が、消費者にとって著しく不利とならないよう規制しています。
国土交通大臣の許可を受けた場合独自の約款を利用できます。
その場合は引越し業者独自の約款に拘束されます。
消費者に有利なルールになっているように感じます。

標準引越運送約款(平成30年6月1日より前に見積書を発行するものに適用)

標準引越運送約款(平成30年6月1日以降に見積書を発行するものに適用)

言葉の説明

荷送人=荷物を送る人
荷受人=荷物を受取る人

標準引越運送約款の構成内容

第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 見積り(第三条)
第三章 運送の引受け(第四条・第五条)
第四章 荷物の受取(第六条-第八条)
第五章 荷物の引渡し(第九条-第十二条)
第六章 指図(第十三条・第十四条)
第七章 事故(第十五条-第十七条)
第八章 運賃等(第十八条-第二十一条)
第九章 責任(第二十二条-第二十九条)

出典:標準引越運送約款

標準引越運送約款は第1章から第9章まで、第1条から第29条までで構成されています。

総則

(適用範囲)
第一条 この約款は、一般貨物自動車運送事業により行う運送のうち車両を貸し切ってする引越運送及びこれに附帯する荷造り、不用品の処理等のサービスに適用されます。ただし、事業所等の移転であって、この約款によらない旨をあらかじめ告知した場合には、適用されません。
2 この約款に定めのない事項については、法令又は一般の慣習によります。
3 当店は、前二項の規定にかかわらず、法令に反しない範囲で、特約の申込みに応じることがあります。
(受付日時)
第二条 当店は、受付日時を定め、店頭に掲示します。
2 前項の受付日時を変更する場合は、あらかじめ営業所その他の事業所の店頭に掲示します。

出典:標準引越運送約款

標準引越運送約款の適用範囲

原則として一般家庭の引越しでトラックを貸し切って行うことを想定しています。
事務所の移転やトラックによる積み合わせ便などを利用した際には適用範囲外です。

見積り

(見積り)
第三条 当店は、引越運送及びこれに附帯するサービスに要する運賃及び料金(以下「運賃等」という。)について、試算(以下「見積り」という。)を行います。
2 見積りを行ったときは、次の事項を記載した見積書を申込者に発行します。
一 申込者の氏名又は名称、住所及び電話番号
二 荷受人の氏名又は名称、住所及び電話番号
三 荷物の受取日時及び引渡日
四 発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号
五 運賃等の合計額、内訳及び支払方法
六 解約手数料の額
七 当店の名称、事業許可番号、住所、電話番号、見積り担当者の氏名及び問い合わせ窓口電話番号
八 荷送人及び荷受人並びに当店が行う作業内容
九 その他見積りに関し必要な事項
3 前項第五号の記載については、第三号及び第四号の事項並びに積込み又は取卸し作業等に応じて運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します。
4 見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。この場合には、見積りを行う前にその金額を申込者に通知し、了解を得ることとします。
5 当店は、見積りの際に内金、手付金等(前項ただし書の規定による下見に要した費用を除く。)を請求しません。
6 当店は、見積り時に申込者に対して、この約款を提示します。
7 当店は、見積書に記載した荷物の受取日の二日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行います。

出典:標準引越運送約款

見積書には

  • 申込者の氏名又は名称・住所・電話番号
  • 荷受人(荷物を受け取る人)の氏名又は名称、住所及び電話番号
  • 荷物の受取日(荷物をトラックなどに積み込む日時)
  • 荷物の引渡日(荷物を引越し先に搬入する日時)
  • 荷物を搬出する場所の地名、地番及び連絡先電話番号
  • 荷物を搬入する場所の地名、地番及び連絡先電話番号
  • 運賃等の合計額(内訳有り)
  • 運賃の支払い方法
  • 解約手数料の金額
  • 業者名・事業許可番号・住所・電話番号・見積り担当者の氏名・問い合わせ窓口電話番号
  • 荷送人、荷受人、引越し業者の引越し作業内容
  • その他見積りに関し必要な事項

上記項目を記入する必要があります。
見積書は料金等について詳細かつわかりやすく記載しなければなりません。
見積書に料金等をいい加減に記載している引越し業者は利用しないことをおすすめします。

この第3条で標準引越運送約款の提示義務が規定されています。

見積もりは無料であり手付金・内金は発生しません。
見積もり費用がかかる場合でも、費用を荷送人の負担とする場合には事前に荷送人の了解を取らなければなりません。
つまり契約が完了するまで事前に荷送人に了承を得ていない場合は一切の料金は発生しません。

引越し業者からは、荷物の受取日の2日前までに、確認の連絡が入ります。この時点までに、荷物の内容などに変化があった場合は、必ず申告するようにしてください。

運送の引受け

(引受拒絶)
第四条 当店は、次の各号の一に該当する場合には、引越運送の引受けを拒絶することがあります。
一 運送の申込みがこの約款によらないものであるとき。
二 運送に適する設備がないとき。
三 運送に関し申込者から特別の負担を求められたとき。
四 運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。
五 天災その他やむを得ない事由があるとき。
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
一 現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
二 火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
三 動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
四 申込者が第八条第一項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又は同条第二項の規定による点検の同意を与えないもの
(連絡運輸又は利用運送)
第五条 当店は、荷送人の利益を害しない限り、引き受けた荷物の運送を他の運送機関と連絡して、又は他の貨物自動車運送事業者の行う運送若しくは他の運送機関を利用して運送することがあります。

出典:標準引越運送約款

引越しを断られることもある

  • 標準引越運送約款を使用しない場合(事務所等の移転等)
  • 引越し業者に特殊な設備がない場合(ピアノ、コピー機等の重すぎて運べないもの)
  • 引越し業者が荷送人から特別な負担を求められた場合
  • 天災などの不可抗力があった場合

は引越しを断られることがあります。

引越し業者にも運べないものがある

  • 荷送人において携帯することのできる貴重品
    • 現金
    • 有価証券
    • 宝石貴金属
    • 預金通帳
    • キャッシュカード
    • 印鑑
  • 他の荷物に損害を及ぼす恐れのある物
    • 火薬類
    • その他の危険品
    • 不潔な物品
  • 特殊な管理を要する物
    • 動植物
    • ピアノ
    • 美術品
    • 骨董品
  • 運送上特段の注意を要するものの有無並びにその種類及び性質について荷送人が申告しないもの(参考:第8条第1項)
  • 荷物の種類および性質の点検について、荷送人が同意を与えないもの(参考:第8条第1項)

上記のような荷物は引越し業者に無申告でダンボールに梱包して紛失などの事故があっても、引越し業者からの補償を受けることができない可能性があります。
引越し業者に申告したとしても運ぶことを断られることが多いです。

そのため上記のような荷物は自分で管理することが一般的です。

荷物の受取

(荷物の受取を行う日時)
第六条 当店は、見積書に記載した受取日時に荷物を受け取ります。
(荷造り)
第七条 荷送人は、荷物の性質、重量、容積、運送距離等に応じて、運送に適するように荷造りをしなければなりません。
2 当店は、荷物の荷造りが運送に適さないときは、荷送人に対し必要な荷造りを要求し、又は荷送人の負担により必要な荷造りを行います。
3 前二項の規定にかかわらず、当店は荷送人からの申込みに応じて、荷送人の負担により必要な荷造りを行います。
(荷物の種類及び性質の確認)
第八条 当店は、荷物を受け取る時に、第四条第二項各号に掲げる荷物、貴重品(第四条第二項第一号及び第三号に掲げるものを除く。)、壊れやすいもの(パソコン等の電子機器を含む。第二十四条第二項において同じ。)、変質若しくは腐敗しやすいもの等運送上特段の注意を要するものの有無並びにその種類及び性質を申告することを荷送人に求めます。
2 当店は、前項の場合において、その種類及び性質につき荷送人が告げたことに疑いがあるときは、荷送人の同意を得て、その立会いの上で、これを点検することができます。
3 当店は、前項の規定により点検した場合において、荷物の種類及び性質が荷送人の申告したところと異ならないときは、このために生じた損害を賠償します。
4 第二項の規定により点検した場合において、荷物の種類及び性質が荷送人の申告と異なるときは、点検に要した費用は荷送人の負担とします。

出典:標準引越運送約款

荷造り・梱包は利用者の仕事

荷物の梱包方法については引越し業者が提供するサービスの内容によります。
はやめに引越し業者にどのように梱包しておけばよいか確認しておきましょう。

荷物を積込む際に、梱包が不適切であった場合は、

  • 引越し業者からの要求により、荷送人が荷物を再度梱包する
  • 引越し業者が荷送人の負担により荷物を梱包する

上記のいずれかを選ぶことになります。

  • 第4条第2項各号に掲げる荷物
  • 貴重品(第4条第2項第1号及び第3号に掲げるものを除く。)
  • 壊れやすい物(パソコン等の電子機器を含む。)
  • 変質若しくは腐敗しやすい物

荷物の積込み作業を始める前に、上記のような運送上特段の注意を要する荷物が入っていないことを確認するサインを荷送人は求められます。
サインすることの意味は「引越しの荷物の中に運送上特段の注意を要する荷物が含まれていない」ことに同意することになります。

運送上特段の注意を要する荷物が補償の対象となるのは

  • 引越し業者が本項に規定する特殊な荷物であると知って引き受けていること(参考:第24条第1項)
  • 荷送人が運送上の特段の注意を要する荷物の有無の申告をしていること(参考:第24条第2項)
  • 過失があり運送上の特段の注意を要する荷物の存在を知らなかったこと(参考:第24条第2項)

上記の場合になります。

運送上特段の注意を要する荷物が入っていないことを表明しているので、紛失等の事故がおきたとしても補償は難しくなります。

荷物の引渡し

(荷物の引渡しを行う日)
第九条 当店は、見積書に記載した引渡日に荷物を引き渡します。また、荷物受取時に、引渡日時を荷送人又は荷受人に対して通知します。
(荷受人が不在の場合の措置)
第十条 荷受人が見積書に記載した引渡日に引渡先に不在のおそれのある場合には、あらかじめ荷送人に対し、荷受人に代わって荷物を受け取る者(以下「代理受取人」という。)の氏名及び連絡先の申告を求めます。
2 荷受人が見積書に記載した引渡日に不在であった場合には、当該代理受取人に対する荷物の引渡しをもって荷受人に対する引渡しとみなします。
(引渡しができない場合の措置)
第十一条 当店は、荷受人又は代理受取人(以下「荷受人等」という。)を確知することができないとき、又は荷受人等が荷物の受取を怠り若しくは拒んだとき、若しくはその他の理由によりこれを受け取ることができないときは、遅滞なく荷送人に対し、相当の期間を定め荷物の処分につき指図を求めます。
2 前項に規定する指図の請求及びその指図に従って行った処分に要した費用は荷送人の負担とします。
(引渡しができない荷物の処分)
第十二条 当店は、相当の期間内に前条第一項に規定する指図がないときは、荷物を倉庫営業者に寄託し又は供託し若しくは競売することがあります。
2 前項の規定による処分を行ったときは、遅滞なくその旨を荷送人又は荷受
人に対して通知します。
3 第一項の規定による処分に要した費用は、荷送人の負担とします。
4 当店は、第一項の規定により競売したときは、その代価の全部又は一部を運賃等並びに指図の請求及び競売に要した費用に充当し、不足があるときは、荷送人にその支払を請求し、余剰があるときは、これを荷送人に交付し、又は供託します。

出典:標準引越運送約款

基本的に引渡しには荷送人本人が立ち会うので荷送人と荷受人は同じになります。
しかし、急病や事故など何かしらの事情で引渡日に立ち会うことができない場合もありえます。
もし引渡しに立ち会えない場合は代理人を用意する必要があります。

荷物の引渡しが出来ない

  • 荷受人又は代理受取人を確知することができない場合
  • 荷受人等が荷物の受取を怠り若しくは拒んだ場合
  • その他の理由によりこれを受け取ることができない場合

上記のような場合は荷送人に連絡が入ります。
その際、荷物をどうするか決めることになります。

荷送人と連絡がつかない場合、
荷物は

  • 荷物の倉庫営業者への寄託
  • 荷物の供託
  • 荷物の競売

上記のような手段で処分されます。
競売で荷物が処分された場合はまず競売にかかった費用を清算します。
不足分がある場合は請求、余剰分がある場合は返還、もしくは供託が行われます。

処分にかかる費用は荷送人が負担することになります。

指図

(指図)
第十三条 荷送人は、当店に対し、荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分につき指図をすることができます。
2 前項に規定する荷送人の権利は、荷受人に荷物を引き渡した時に消滅します。
(指図に応じない場合)
第十四条 当店は、運送上の支障が生ずるおそれがあると認めるときには、前条第一項の規定による荷送人の指図に応じないことがあります。
2 当店は、前項の規定により指図に応じないときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。

出典:標準引越運送約款

荷送人は

  • 荷物の運送の中止
  • 荷物の返送
  • 荷物の転送
  • その他の処分

を請求できます。

しかし、引越し業が「運送上の支障が生ずるおそれがあると認める」ときには請求を拒否されます。

事故

(事故の際の措置)
第十五条 当店は、荷物の全部の滅失を発見したときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。
2 当店は、荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損を発見したとき、又は荷物の引渡しが見積書に記載した引渡日より遅延すると判断したときは、遅滞なく荷送人に対し、相当の期間を定め荷物の処分につき指図を求めます。
3 当店は、前項の場合において、指図を待ついとまがないとき、又は当店の定めた期間内に指図がないときは、荷送人の利益のために、当店の裁量によって運送の中止又は運送経路若しくは運送方法の変更その他の適切な処分をします。
4 当店は、前項の規定による処分をしたときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。
5 第二項の規定にかかわらず、当店は運送上の支障が生ずると認める場合には、荷送人の指図に応じないことがあります。
6 当店は、前項の規定により指図に応じないときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。
7 当店は、荷物の一部の滅失又はき損を発見したときは、荷送人の指図を求めずに運送を続行した上で、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。
(危険品等の処分)
第十六条 当店は、荷物が危険品等他の荷物に損害を及ぼすおそれのあるものであることを運送の途上で知ったときは、荷物の取卸しその他運送上の損害を防止するための処分をします。
2 前項に規定する処分に要した費用は、荷送人の負担とします。
3 当店は、第一項の規定による処分をしたときは、遅滞なくその旨を荷送人に通知します。
(事故証明書の発行)
第十七条 当店は、荷物の滅失、き損又は遅延に関し、証明の請求があったときは、荷物を引き渡した日(滅失のときは見積書に記載した引渡日)から一年以内に限り、事故証明書を発行します。

出典:標準引越運送約款

  • 引越し業者が荷物の全部の滅失を発見したとき
  • 引越し業者が荷物の相当部分の滅失を発見したとき
  • 引越し業者が荷物の全部の毀損を発見したとき
  • 引越し業者が荷物の相当部分の毀損を発見したとき
  • 引越し業者が荷物の一部の滅失を発見したとき
  • 引越し業者が荷物の一部の毀損を発見したとき
  • 引越し業者が荷物の引渡しが見積書に記載した引渡日より遅延すると判断したとき
  • 引越し業者が危険品等を途中で発見し処分したとき

上記の場合は引越し業者から連絡が入ることになります。
緊急事態で連絡をとることができない場合や荷送人からの連絡がない場合は引越し業者の裁量で対応することになります。

※危険品が荷物に混入しており事故が発生した場合は補償の対象外になる可能性が高いです。危険物を積み込むことには何のメリットもありません。

運賃等

(運賃及び料金)
第十八条 運賃及び料金並びにその適用方法は、当店が別に定める運賃料金表によります。
2 運賃及び料金並びにその適用方法は、営業所その他の事業所の店頭に掲示します。
3 当店は、申し込みを受けた運送に附帯するサービスを行ったときは、これに係る料金を収受します。
(運賃等の収受)
第十九条 当店は、荷物を受け取るときに見積書に記載された支払方法により、荷送人から運賃等を収受します。
2 当店は、次の事項を記載した請求書に基づき運賃等を請求します。
一 運賃等の請求相手方の氏名又は名称、住所及び電話番号
二 発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号
三 運賃等の合計額及びその内訳(運賃等の内容ごとに区分してわかりやす
く記載します。)
四 当店の名称、住所、電話番号及び問い合わせ窓口電話番号
五 その他運賃等の収受に関し必要な事項
3 前項各号について、当店は見積書に記載した内容に準拠して記載します。ただし、見積りを行った後に当該内容に変更が生じた場合は、当該変更に応じて所要の修正を行います。
4 前項ただし書の場合において、変更が生じた結果、実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等の合計額と異なることとなった場合の修正については、次の各号に基づき行います。
一 実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等(以下「見積運賃等」という。)の合計額より少ない場合 実際に要する運賃等の合計額及びその内容に修正します。
二 実際に要する運賃等の合計額が見積運賃等の合計額を超える場合 荷送人の責任による事由により見積運賃等の算出の基礎に変化が生じたときに限り、実際に要する運賃等の合計額及びその内容に修正します。
5 当店は、第一項の規定にかかわらず、荷物を引き渡した後に荷受人等から運賃等を収受することを認めることがあります。この場合においては、第二項から前項までの規定を準用します。
(事故等と運賃、料金)
第二十条 当店は、第十三条第一項の規定により処分をしたときは、その処分に要する運賃、料金その他の費用を収受し、並びに当店が既に行った運送及びこれに附帯するサービスに要した運賃等を収受します。
2 当店は、第十五条第二項及び第三項の規定により処分をしたときは、事故等が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合に限り、その処分に要する運賃、料金その他の費用を収受します。
3 当店は、荷物の一部の滅失若しくはき損又は遅延が生じた場合において申込みに係る運送を続行した場合は、運賃等の全額を収受します。
4 当店は、第十五条第一項に規定する荷物の全部の滅失又は同条第二項に規定する荷物の相当部分の滅失又は全部若しくは相当部分のき損が生じた場合は、当該事故が荷送人の責任による事由又は荷物の性質若しくは欠陥により生じた場合に限り、当店が既に行った運送及びこれに附帯するサービスに要した運賃等を収受します。
5 第一項、第二項及び第四項の場合において、当店が既にその荷物について運賃等の全部又は一部を収受している場合には、第一項、第二項又は第四項の規定により当店が収受することとしている金額に充当し、余剰があるときは払い戻します。
(解約手数料又は延期手数料等)
第二十一条 当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前日又は当日に行われたときに限ります。ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。
2 前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。
一 見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積書に記載した運賃の十パーセント以内
二 見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積書に記載した運賃の二十パーセント以内
3 解約の原因が荷送人の責任による場合には、解約手数料とは別に、当店が既に実施し、又は着手した附帯サービスに要した費用(見積書に明記したものに限る。)を収受します。
4 第一項ただし書の規定は、前項の費用の収受について準用します。

出典:標準引越運送約款

見積書と請求書はほぼ同額

引越し業者は、見積書とほとんど同じ方法で請求書の記載事項を記載しなければなりません。
見積書と請求書を比較して下さい。

値引き交渉などで見積書に変更があった場合は新しく見積書を発行してもらって下さい。
担当者が途中で代わり情報共有が正しくされていない場合は、値引きされていない金額で請求書が作成されることもあります。

  • 実際の運賃等が見積書の運賃等の金額よりも少ない場合は、値引きして修正する
  • 実際の運賃等が見積書の運賃等の金額よりも多い場合は、荷物を搬出する際に立ち会った荷送人の責任による事由で運賃等が変更されたときに限って、変更後の実際の運賃等に値上げして修正する

上記のように運賃等に変更があった場合はそれぞれ修正されます。

引越し業者が値上げして請求できるのは、荷送人側に責任がある場合のみです。

過剰配車(トラック1台で十分なところ2台用意された)、人員不足(4人で作業するはずだったが2人しかこなかった)等だった場合は、引越し業者に実際にかかる費用は見積り時より安くなっているので、値引きは当然行われます。

引越し途中キャンセルしても発生する料金は既に行った運送及びこれに附帯するサービスに対してのみ

荷送人は

  • 荷物の運送の中止
  • 荷物の返送
  • 荷物の転送
  • その他の処分

を引越し業者に支持できます。(参考:第13条第1項)
かかった費用は引越し業者から請求される可能性があります。

引越しを途中で中止したとしても発生する料金は「既に行った運送及びこれに附帯するサービス」に対してのみです。「見積書に記載された料金」+「違約金」まで請求されるということはありません。

  • 荷物の全部の滅失(参考:第15条第1項)
  • 荷物の相当部分の滅失(参考:第15条第2項)
  • 荷物の全部の毀損(参考:第15条第2項)
  • 荷物の相当部分の毀損(参考:第15条第2項)

荷物の滅失・毀損が荷送人の責任の場合は

  • 運送、サービスに要した料金
  • 処分に要する運賃、料金

が請求されることになります。

  • 荷物の一部の滅失(参考:第15条第7項)
  • 荷物の一部の毀損(参考:第15条第7項)
  • 遅延

上記のような場合は配送を続行し見積書通りに支払いを済ませます。
引越し業者の不注意で遅延、毀損があり補償の対象になるとしても値引きによる見積書の金額との相殺にはなりません。
一度支払いを済ませた後に補償金額が支払われることになります。
※荷送人と引越し業者が値引き同意した場合は可能です。

当日キャンセル・前日キャンセルは手数料がかかる

  • 解約または受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであること
  • 解約または受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前日または当日におこなわれたこと
  • 第3条第7項の規定による確認をおこなったこと

上記を全て満たした場合、引越し業者から解約手数料・延期手数料が請求されます。
※引越し日の2日前までは、無料で解約・延期ができます。

  • 見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき
    見積書に記載した運賃の10%以内
  • 見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき
    見積書に記載した運賃の20%以内

引越し業者が請求可能な金額は上記の通りです。
これ以上の解約手数料・延期手数料を引越し業者から請求されたとしても支払う義務はありません。
※解約前に実施された附帯サービスがある場合は請求される可能性があります。

責任

(責任と挙証等)
第二十二条 当店は、自己又は使用人その他運送のために使用した者が、荷物の荷造り、受取、引渡し、保管又は運送に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、荷物その他のものの滅失、き損又は遅延につき損害賠償の責任を負い、速やかに賠償します。
(免責)
第二十三条 当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害については、損害賠償の責任を負いません。
一 荷物の欠陥、自然の消耗
二 荷物の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さびその他これに類似する事由
三 ストライキ若しくはサボタージュ、社会的騒擾その他の事変又は強盗
四 不可抗力による火災
五 予見できない異常な交通障害
六 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災
七 法令又は公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え又は第三者への引渡し
八 荷送人又は荷受人等の故意又は過失
(引受制限荷物等に関する特則)
第二十四条 第四条第二項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、損害賠償の責任を負います。
2 貴重品、壊れやすいもの、変質又は腐敗しやすいもの等運送上の特段の注意を要する荷物(第四条第二項各号に掲げるものを除く。)については、荷送人が第八条第一項の規定によるその有無の申告をせず、かつ、当店が過失なくしてその存在を知らなかった場合は、当店は、運送上の特段の注意を払わなかったことにより生じた当該荷物の滅失若しくはき損又は当該荷物により生じた他の荷物の滅失、き損若しくは遅延について、損害賠償の責任を負いません。
(責任の特別消滅事由)
第二十五条 荷物の一部の滅失又はき損についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から三月以内に通知を発しない限り消滅します。
2 前項の規定は、当店がその損害を知って荷物を引き渡した場合には、適用しません。
(損害賠償の額)
第二十六条 当店は、荷物の滅失又はき損により直接生じた損害を賠償します。
2 当店は、遅延により生じた損害については、次の各号の規定により賠償します。
一 見積書に記載した受取日時に荷物の受取をしなかったとき 受取遅延により直接生じた財産上の損害を運賃等の合計額の範囲内で賠償します。
二 見積書に記載した引渡日に荷物の引渡しをしなかったとき 引渡遅延により直接生じた財産上の損害を運賃等の合計額の範囲内で賠償します。
三 第一号及び第二号が同時に生じたとき 受取遅延及び引渡遅延により直接生じた財産上の損害を運賃等の合計額の範囲内で賠償します。
3 前項の規定にかかわらず、当店の故意又は重大な過失によって荷物の受取又は引渡しの遅延が生じたときは、当店はそれにより生じた損害を賠償します。
(時効)
第二十七条 荷物の滅失、き損又は遅延についての当店の責任は、荷受人等が荷物を受け取った日から一年を経過したときは、時効によって消滅します。
2 前項の期間は、荷物の全部が滅失した場合においては、見積書に記載した引渡日からこれを起算します。
3 前二項の規定は、当店がその損害を知っていて荷受人等に告げなかった場合には、適用しません。
(連絡運輸又は利用運送の際の責任)
第二十八条 当店が他の運送機関と連絡して、又は他の貨物自動車運送事業者の行う運送若しくは他の運送機関を利用して運送を行う場合においても、運送上の責任は、この運送約款により当店が負います。
(荷送人又は荷受人等の賠償責任)
第二十九条 荷送人又は荷受人等は、自らの故意若しくは過失により、又は荷物の性質若しくは欠陥により当店に与えた損害について、損害賠償の責任を負わなければなりません。ただし、荷送人又は荷受人等が過失なくしてその性質若しくは欠陥を知らなかったとき、又は当店がこれを知っていたときは、この限りでありません。

出典:標準引越運送約款

引越し業者が起こした事故があった場合に損害賠償の責任を負い、速やかに賠償されます。

  • 荷物の欠陥
  • 自然の消耗
  • 荷物の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さびその他これに類似する事由
  • ストライキ若しくはサボタージュ、社会的騒擾その他の事変又は強盗
  • 不可抗力による火災
  • 予見できない異常な交通障害
  • 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災
  • 法令又は公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え又は第三者への引渡し
  • 荷送人又は荷受人等の故意又は過失

上記のような場合は補償されません。

引越し業者は第4条第2項各号の荷物であることを知って引き受けた場合は、その荷物の滅失・毀損や、その荷物による作業の遅れについて、損害賠償の責任を負います。

等運送上の特段の注意を要する荷物については

  • 荷送人が運送上の特段の注意を要する荷物の有無の申告をしていること(参考:第24条第2項)
  • 過失があり運送上の特段の注意を要する荷物の存在を知らなかったこと(参考:第24条第2項)

上記のような場合は補償対象になります。

遅延により生じた損害は

  • 見積書に記載した受取日時に荷物の受取をしなかったとき
  • 見積書に記載した引渡日に荷物の引渡しをしなかったとき
  • 上記が同時に生じたとき

上記場合は運賃等の合計額の範囲内で補償されます。

荷物の一部の滅失・毀損等があった場合は3ヶ月以内に引越し業者に対して通知してください。3ヶ月を経過すると損害賠償を求めることができなくなります。3ヶ月以内に損害賠償請求をしたとしても1年で引越し業者の責任は消滅してしまいます。

引越しの作業にどれだけ多くの事業者が関わっていようとも、事故が起こった場合は、引越し業者が窓口となって補償交渉をおこないます。このため、荷送人はいちいち複数の事業者を相手に補償交渉をおこなう必要はありません。

荷送人は、故意・過失または荷物の性質・欠陥により引越し業者に対して与えた損害について、損害賠償の責任を負わなければなりません。
ただし、この損害賠償の原因となる荷物の性質・欠陥について、荷送人が過失なく知らなかったとき、または、引越し業者がこの性質・欠陥について知っていたときは、荷送人は、その損害賠償責任を負う必要はありません。

まとめ

  • 標準引越運送約款を確認する
  • 見積書は詳細に記載されなければならない
  • 見積書と請求書の金額は基本的には同じ
  • 貴重品等の特殊な荷物は自分で運ぶ
  • 荷造りは消費者の責任
  • 解約・延期は引越し日の2日前まで無料(前日キャンセル10%の手数料・当日キャンセル20%の手数料)
  • 損害賠償請求は3ヶ月以内
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